大判例

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東京高等裁判所 昭和26年(う)2752号 判決

被告人堀の弁護人Kの控訴趣意第一の(二)及び第二並びに被告人橫川の弁護人Sの控訴趣意について。

原判決は被告人堀専治が、被告人橫川直忠から賄賂として、単独で前後七回に合計六万五千円の現金を收受し、別に大西俊治と共謀の上二十万円の現金を收受した事実を認定したが、本件訴訟記録及び原裁判所が取り調べた証拠に現われた事実に徴すれば、被告人堀専治が単独で収受した現金六万五千円は全部同被告人が自己の用途に費消したことが明らかであり、又大西俊治と共謀の上収受した現金二十万円については、その頃同被告人がこれを大西俊治と折半しようとしたが、大西俊治はその半額のうち三万円だけを受け取り、残り七万円は被告人堀専治が預かり、これと自分の分配額十万円の合計十七万円の一部を大阪銀行橫浜支店に預金し、残部は自宅に保管していたこと及びその後間もなく被告人堀専治が自宅に保管していた現金三万円と大阪銀行橫浜支店から払戻を受けた四万円の合計七万円を大西俊治に返したことが明らかである。ところで、数人が共謀して賄賂を収受した場合の沒収又は追徴は、共犯者各自が現に享有した利益により、その分配額に従つてこれを行うべきものであるから、(昭和九年七月十六日宣告大審院昭和九年(れ)第六一〇号大審院第一刑事部判決、大審院判例集第十三巻第九百七十二頁参照)被告人堀専治が大西俊治と共謀して収受した現金二十万円については、現実に大西俊治に渡した三万円を差し引いた残金十七万円を同被告人から沒収又は追徴すべき筋合であるが、そのうち三万円は、同被告人が自宅に保管していた右収賄金の中から、すでに被告人橫川直忠に返還しているのであるから、この限度においては、当然これを被告人橫川直忠から沒収又は追徴すべきものであつて、被告人堀専治はその責を免れるものであり、又被告人堀専治が大阪銀行橫浜支店から払い戻して被告人橫川直忠に返還した現金四万円については、銀行に預金してから旬日を経ずして払い戻を受けたものであり、且つ被告人堀専治において、自分が預金した右収賄金の中から払い戻を受ける意図であつたことが窺われるが、このような場合には、たとえ一時銀行に預金した事実があつたとしても、社会通念上その収賄金たるの性質に影響を及ぼすものではないと解するのが相当であるから、この分についても、亦当然被告人橫川直忠から追徴又は沒収すべきものであつて、被告人堀専治はその責を免れるものといわなければならない。従つて、被告人堀専治からは、前記二十万円の収賄金の中から被告人橫川直忠に返還した七万円及び大西俊治に提供した三万円を差し引いた十万円と、単独で収賄した六万五千円の合計金十六万五千円を追徴し、又被告人橫川直忠からは被告人堀専治の収賄金の中から返還を受けた金七万円を追徴すべきにかゝわらず、これと違つた判断をした原判決は結局判決の理由にくいちがいがあることに帰し、原判決は破棄を免れない。

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